No.20 キン肉マン・地獄のタイトルマッチ(情報提供:ピュウピュウ様←当ゲームの制作者様です)

(説明書・ゲームのあらまし本文より)
キン肉マンを始めとする6人の正義超人は声もなく立ちつくしていた。彼らの目の前にあるもの、
それは5つのリングがタテに積みあげられた驚くべきリングだ。それもただのリングではない。
1段めのリングには針地獄、2段めには火山地獄、3段めには竜巻地獄、4段めには砂地獄という
4つの地獄が待ち受ける驚異の5重リングなのである。『これが悪魔将軍の挑戦状か....!!』各リ
ングには4人の悪魔騎士や数多くの超人達が待ちかまえている。だが、ひるんではいられない。正
義超人の誇りにかけて5重のリングをかけのぼり、悪魔将軍を倒すのだ!「いくぞ!!」正義超人は
5重のリングに飛び込んだ。超人対超人の激しい戦い、5重のリングにひびきわたる叫び声!正義
超人は、はたして悪魔将軍を倒すことができるだろうか......?



(概要)
ゲーム盤は長方形タイプで、5つのリングが縦に並んだ構成になっています。
リングはそれぞれ3×3の井形にマスを切ってあり、中央のマスには何らかの指示があります。
周囲には悪魔の絵が描かれたマスがあり、ここに止まると超人との対決になります。
またいくつかのマスには悪魔騎士のチップが置かれます。やはりここに止まると対決になります。

プレイヤーは正義超人6人から各自コマを選んで、1番めの地獄から順に進んでいきます。
超人との対決は手持ちのカードとルーレットによるバトルです。カードを1枚選んで1枚出してル
ーレットを回し、勝てばカードに書いてある数値分のパワーチップ(終盤戦で重要)をもらえますが、
逃げられたりするとカードだけ失ってしまいます。

悪魔騎士との対決はカードのみのバトルです。他プレイヤーに悪魔騎士(専用のバトルカードあり)
をやってもらいます。まずプレイヤーが1枚または2枚のカードを出します。悪魔騎士は出された
カードに書かれた数値を上回るカードを1枚か2枚で出さなければいけません。出せれば、今度は
プレイヤーに同じ運命が降りかかります。互いに相手を上回るカードを出し続けて、先に出せなく
なった方が負けです。プレイヤーが勝てば悪魔騎士チップは取り除かれ、チップに書かれている分
のパワーチップをもらいます。またここではカードの補給もできます。

当初プレイヤーは5枚のカードを持っていますが、超人とのバトルで減っていくので、補給ができ
ないうちに次のバトルに突入すると苦戦を強いられます。また強いカードを出せば緒戦で勝ちやす
くなりますが、その後が苦しくなります。超人戦ではそこそこ大きなカードで勝ってパワーチップ
を集めたい、悪魔騎士戦ではできるだけギリギリ相手を上回るカードで勝ちたい、という心理が働
きます。

倒した悪魔騎士は盤上から取り除かれます。遅れているプレイヤーは戦いなしで通れるので前を行
く他プレイヤー達に追いつきやすくなりますが、その反面パワーチップを稼ぎにくいことが最終戦
に影響します。

4つ目の地獄を越えると、いよいよ最終戦となる5つ目のリングです。ここでは原作よろしく4つ
のリングで倒された悪魔騎士達が甦って合体し、9枚のチップで"悪魔将軍"の絵柄になります。
悪魔将軍を倒すには心臓部つまり中央のチップまで進む必要がありますが、そのためには端のチッ
プ(甦った悪魔騎士)と再び戦って取り除き、道を開かなければなりません。これまでに蓄えたパワ
ーチップが戦いを助けてくれます。

他プレイヤーの動きによっては、そこでせっかく倒した悪魔騎士が再度甦って立ち塞がったりして
なかなか中心部にたどりつけません。
戦いの末、中心部のチップ(悪魔将軍の心臓部)を取り除いたプレイヤーが勝者です。


(制作時の思い出)
当時は日本中を席巻し始めた「キン肉マン」ブームの前半といった頃でした。
ゲームづくりはまず原作本を繰り返し読んで作品世界のファンになることから始まります。
対象になる小学生の男の子達が「キン肉マン」のどこにワクワクするのかを肌で感じて共感できる
ようでないと、ゲームのコンセプトを組み立てることはできません。

1つゲームを創り終えるたびに1つずつ自分の視野が広がっていく感じです。

「キン肉マン」は格闘のドラマであり、独特のオーバーな表現が味わいを出しています。
そこで超人パワーのぶつかりあいをそのまま出したカードバトルを用意した上で、「うぎゃあ!」
とか「なんの!」と言った、原作によく出てくる超人達の"言い回し"(擬音?)をそのままルーレッ
トに入れ込みました。例えば普通だったら「勝利!」とでも書くであろうところに「うぎゃあ!」
「引き分け!」と書くところを「ササッ!」などと書いてあります。
激しい戦いの中にどこかユーモラスな面が垣間見えるあの"間"を再現しようとしたのですが、さて
どうだったでしょうね。

バンダイで行った当時のテストプレイはきっと傍目には奇怪な光景だったに違いありません。
"仕事"であろうとプレイしているうちに白熱していくものですが、大の大人が揃いも揃って口々に
「うぎゃ〜!出ろ、うぎゃ〜!....よし、うぎゃあ〜!」「なんのなんの〜!」「ササッ!」等と
叫びながらゲームをしていたのです。
(確か、すぐ隣で打合わせをしていた方達に「うるさい!」と怒られたような....。)

ゲーム盤は当初5つのリングが縦に繋がった立体的なものを考えていましたが、コスト上許される
材料では満足な強度と大きさを持ったものが作れないと判って断念しました。当時の私は駆け出し
でまだ業界知識に詳しくなかったので、紙質等を工夫して実現する術を持っていなかったのですね。
でもデザイン担当の会社が盤の図柄をとても綺麗でカッコよくデザインしてくれました。
"生まれて初めて"自分が考えたゲームが実際に製品の形になって目の前に現れた時の感動!....
ご想像頂けるでしょ?


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